ゆずれない思い〜心の痛み〜

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玄関で母が笑っている。 誰よ、こんな悲しい時に…グスッ…。 へ?あの声は!佑ちゃん? 私は玄関へと走った! 「佑ちゃん?」 「沙都!急に帰るから、驚いたよ。ゴメン!」 「祐ちゃん、なんで謝ってるの?」 私は涙目で言った。 「……。(泣いた顔も可愛いなんて反則だな…)」 佑ちゃん、固まってる。 何か分からないのに謝ってるの? 「とりあえず、謝ってるの?」 「いや、大事なぬいぐるみだったのに、悪かった!ゴメン! 初めてデートした日に買ったやつだったな。」 佑ちゃん、覚えてくれてたの? 「あのさ、沙都。 俺には沙都だけだから!何にも不安になることは無いんだ、沙都は。 むしろ俺の方が……」 「佑ちゃん?」 「沙都、あのな…。 俺に置いて行かれるって…俺に怒ってるのか? けどな?置いていく俺の気持ちも、考えてくれないか? 俺だってツライんだぞ? いや、俺の方がツライかもだ! 愛してやまない沙都を、もしも他の男に持って行かれたら…、 ああ、考えだだけで心臓が痛ぇ〜。」 「佑ちゃん…。」 「沙都…。」 二人の距離が近づいて、触れ合おうとした。 その間際、 「ウウン、ゴホンッ!」 へ? 「もう、お父さんったら〜! 今、ちょうど良いところだったのにぃ〜。」 まさか、母!のぞき見してたのか…? きゃー、恥ずかしいったらない! 真っ赤な顔の私達をよそに、母は何やら嬉しそう。父は、ちょっぴり不機嫌? まだまだ、前途多難な私達。 お互いを想う気持ちは、日増しに強まりながらも、佑ちゃんがサウジに旅立つその日は、刻一刻と近づいていた…。 to be continued
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