213人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
沙都が部屋を出て行った。
アイツ、何であんなにイライラしてるんだよ?
そして俺は、ゴミ箱からぬいぐるみを救出した。
少しだけくすんだぬいぐるみの鼻先を『かわいそうに…、何を怒ってんだよな?』と、指先でパチンと弾いた。
こいつは、俺と沙都が初めてデートしたテーマパークで買ったヤツだ。大切に沙都に預けておくつもりだ。
あの時の沙都、可愛かったよな。
沙都とは、共通の友人の紹介で知り合った。
華奢な体つきに、色白で大きな瞳が印象的な彼女に、正直言って一目惚れだった。
早くしないと、他の男に持って行かれそうで、毎日のように必死にアプローチしたんだった。
早く沙都に会いたくて…あの頃、残業なんか全くしなかったよな…。
あれ以来、誰に告白されても、俺の気持ちは全くブレていない。
沙都ひとりで十分だ。
はぁ〜、沙都と離れて大丈夫だろうか?
いや、俺は大丈夫だ!自信がある。
だけどもし、沙都に言い寄る男がいたら…。
俺は身震いをした、考えただけで寒気がする!
いかんいかん、お互いに信じ合わないとダメだ。
今は口喧嘩なんか、してる場合じゃない。
最初のコメントを投稿しよう!