ゆずれない思い〜心の痛み〜

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沙都が部屋を出て行った。 アイツ、何であんなにイライラしてるんだよ? そして俺は、ゴミ箱からぬいぐるみを救出した。 少しだけくすんだぬいぐるみの鼻先を『かわいそうに…、何を怒ってんだよな?』と、指先でパチンと弾いた。 こいつは、俺と沙都が初めてデートしたテーマパークで買ったヤツだ。大切に沙都に預けておくつもりだ。 あの時の沙都、可愛かったよな。 沙都とは、共通の友人の紹介で知り合った。 華奢な体つきに、色白で大きな瞳が印象的な彼女に、正直言って一目惚れだった。 早くしないと、他の(ヤツ)に持って行かれそうで、毎日のように必死にアプローチしたんだった。 早く沙都に会いたくて…あの頃、残業なんか全くしなかったよな…。 あれ以来、誰に告白されても、俺の気持ちは全くブレていない。 沙都ひとりで十分だ。 はぁ〜、沙都と離れて大丈夫だろうか? いや、俺は大丈夫だ!自信がある。 だけどもし、沙都に言い寄る男がいたら…。 俺は身震いをした、考えただけで寒気がする! いかんいかん、お互いに信じ合わないとダメだ。 今は口喧嘩なんか、してる場合じゃない。
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