黒い呪術士

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俺、花鳥山 一本杉(はなとりやま いっぽんすぎ) へんな名前? ほっとけ。 名前の由来は俺が生まれ育った町にある杉の木の愛称からだと。 名字もその山なんだけど。 クソじじいが命名しやがった。 じじいよりでかくなったらパワーボム決めてやろうと思って幼少期を過ごしてきたが、俺が小6の春に逝っちまいやがった。 じじいはプロレスとかが好きでいつも昭和の臭いを撒き散らしていた。 じじいには変なこだわりがあって最近の格闘技、総合とかには興味がなくプロレスもとにかく昭和だ。 どこからか入手したプロレスのDVDを集めていたな。 さて、何で今は亡きじじいの話をしているかというとだ、俺の目の前にそのじじいがいるからだ。 幽霊とかじゃない。 幽霊ならどれほど良かったか.... 俺の目の前には鏡がある。 そう、じじいは俺だ。 俺がじじいになってしまった。 事の発端というか終わりというか.... 俺、さっき死んだ。 トラックに跳ねられた。 帰宅部の俺が帰路を走っていたら、横断歩道を渡っていた美少女....だったらどれほど救われたか.... どっかのじじいが横断歩道を渡っていたらトラックが凄い勢いで走って来て、ついうっかりじじいを突き飛ばして助けてしまったんだ。 じじいだよ?美少女じゃなくて、くしゃみで入れ歯が外れそうなじじい。 ま、仕方ないかと思った次の瞬間には俺が空を飛んでいたわけだ。
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