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「ちょっと待てよマジで!!お前っ初心者の俺に容赦なさすぎだろ!」
「いやぁ、だって朔ちゃんすごい包容力あるからさぁ~なんだかんだ慣れちゃうんじゃないかなぁって。それなら早い方がいいでしょ?」
「いいでしょ?じゃねえよっ」
もう大急ぎで風呂場に逃げた。
人間、新しい価値観にも環境にも案外簡単に順応するもので、昨夜最後の抵抗をした玄関で諦めてしまってから、自分の中にはあっさりと男の恋人を持つ自分って枠が出来た。
けど終始透也にリードされて、もしかしなくても俺が女役になりそうだって事実は、なっかなか受け入れらんなくて……
シャワーをお湯2水8の感じで勢いよく出して、頭から浴びた。
汗も熱もさぁっと洗われてすっきり……と思ってたらガッと風呂場のガラスの折戸が開いて、透也が入って来て。
俺の手からシャワーヘッドを取ってフックへかけ、濡れた髪を掴んで顔を少し仰のかせて。
「今度は朔ちゃんがして」
返答を許さない感じにそのまま唇を塞がれて、俺の手が透也のモノに導かれ……で、でかさにひれ伏したくなる、と同時に一つの懸念が……
「なぁ……コレ……」
唇から逃れて思わず口走ったものの、入れるの?とは訊けなかった。だって俺が女役って決まった訳じゃ……
……と、考えたのを透也は察知したみたいだ。
「すぐじゃないよ。まぁそこは待つから」って追いかけてきた唇が重なって来た。
透也の両手が俺のケツを乱暴に掴んでグニグニとやらしく揉んで、いつの間にか石鹸を付けたらしい指が割れ目に入り込んで、奥のすぼまりにツ、ツ、と浅く出し入れされて。それが……信じられねぇことに……
「気持ちいいんだろ……いいじゃん。声出せよ」
「透也……っ」
「チョー素質あり。俺が太鼓判押したげるよ」
いつの間にか透也に縋ってる。出しっぱなしのシャワーに打たれて、ケツの穴いじられて、朝っぱらから……男である透也をそういう意味で好きってこともようやく受け入れられたとこなのに、可愛い顔してマジ容赦ない……
快感に濡れる声が狭い風呂場に零れて……否応なく受け入れさせられてく、自分の変化を。
倒産から始まった激動、ここに極まれり。
人生、ほんと何がどーなるか分かんねぇ。
けど……
「さて……出て、朝ご飯にしますかね」
「ん……」
くたりと凭れたまま返事をする。
俺を支える透也の手が、強引な態度に反して優しい。
あぁ……俺は変わっちまった。
変わっちまったけど……変わるのも案外悪くない。
……多分。
END
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