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体の内まで凍えさせるような寒さで目を覚ます。
一瞬、自分がどこにいるのか理解できず、周囲を見渡すと、実家の二階にある兄の部屋だ。高校を卒業した直後に家を飛び出した俺の部屋は、人が泊まれるような状態ではなくなっていると昨日の夜兄に言われたのだった。
懐かしい匂いのする来客用の毛布と布団を体に巻き付けたまま立ち上がる。家の中だというのに吐き出す息は真っ白で、何故だかそれがおかしくて小さく吹き出した。
窓の障子を抜けた淡く白い光が部屋の中をぼんやりと照らしていた。おもむろに窓際へ近いた私は、立て付けの悪い窓の障子を、コツを使ってすっと開いた。
現れた窓ガラスの向こうに見えたのは、真っ白に染まった世界だった。庭も、道も、隣の家の屋根も。一面が息苦しいくらいの白色に覆われている。
空は澄んだ青色をしていて、そこから注がれる光の粒が反射し、黄色やピンクに輝いている。辺りはその輝きが立てる音が聞こえる程に静かだった。密度の高い真綿を敷き詰めたような、そんな静寂だった。
吐く息で、窓はたちまち白くなる。袖で拭って、外を見つめる。
一階からは、味噌汁の匂いが鼻に届いていた。
灰皿も探さないまま、私は口に咥えた煙草に火をつけた。
完
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