第一章 散るならば春に

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「このまま、超の付くような美少年になられたら、公安では手に余りそうだな」 「美少年は否定しますけど、それまでには、地下社会に戻りたいですけどね」  俺が地下社会に戻りたいと言うと、相馬が驚いたような顔をしていた。 「夏目、地下社会に戻りたいのか?」 「公安に来た時にも正直に言っていますよ。俺は、地下社会で育っているので、親友を殺した犯人を見つけて復讐したら帰ります」  妹の絵里香も、地下社会で眠っている。妻にも離婚されているので、通常社会にいる意味は一つしかない。  しかし、俺の言葉に相馬は渋い表情をした。 「……夏目、公安は夏目を地下社会に渡せない。地下社会に戻るというのならば、閉じ込めておくしかない」  殺すと言わない所が、通常社会らしい。 「まあ、まだ復讐もしていないし、こっちにいるしかないから、当分は大丈夫ですよ」
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