第一章 散るならば春に

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 殺された世羅が再生して存在しているので、犯人よりも、こっちの生きた世羅をどうにかしなくてはいけない。 「夏目、もう一度、通常社会で結婚して家庭を持たないのか?」 「それはまだ分かりません。まだ先ですしね……」  相馬は、俺が考え込む姿が、最後に見た元の俺の姿に酷似していたので、心配になったらしい。 「しかし、可愛い!!!赤ん坊の時は無条件に誰でも可愛いが、この年齢になると、周囲とは際立ってくるな……」  相馬が抱き着いて来ようとするので、俺は部屋を出て廊下に逃げた。 「夏目、期間は一年。理由は分かるっているな?」 「はい!」  期間が一年というのは、資料を見れば分かった。でも、今は、相馬から逃げる方が先だ。
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