第一章 散るならば春に

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 俺がやっとエレベーターに乗り込むと、先に西海が乗っていた。 「……夏目さん、室内でサングラスは止めてください。それに顔を隠しても、その姿で分かりますから」  西海は、俺の頭に手を置いて、暫し髪を観察していた。 「しかし、まるで人形ですよね。ガラス色の目に、水色の髪、真っ白な肌ですからね」 「エイリアン!」  自分の姿だが、まるでエイリアンのようだ。  西海と喋りながら、エレベーターを降り、第九公安部のドアを開けると、枕が飛んできた。俺が枕を避けると、今度は靴が飛んできた。次にバナナが房ごと飛んできたので、それは受け止めておいた。 「市子!サトルと喧嘩をするな!!」  市子は女性で、サトルが猿なのだが、どうも喧嘩友達になっている。市子とサトルは一緒に住んでいるのに、どうして、こんなに喧嘩が絶えないのか不思議になってくる。
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