第一章 散るならば春に

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 この第九公安部は、俺と壬生、桂川と市子の四人しかいない。サトルはペットの扱いになっていて、人数には入っていない。西海も公安に所属しているが、未だに、どこの部署なのか教えてくれない。 「壬生、御堂の資料」  壬生は中二階に個室を作り、端末に囲まれて生活していた。二回の個室は、ガラス張りになっているので、姿は見えるが、会話はマイクを使用する。 「……送ってあります」  俺は自分の机に行くと、椅子に腰を掛けた。どうも、俺の机は学習机で、椅子と机の高さが調整できるようになっていた。 「桂川さん、資料を送りますので、金の流れを調べてください」  御堂の資料を読むと、御堂承認の資料であった。個人情報の取り扱いについての署名欄もあり、御堂らしい几帳面さが伺える。  資料には、まず子供の学校などの情報と、教師の素性などが纏っていた。でも、この素性は当てにならない。
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