第一章 散るならば春に

16/17
前へ
/472ページ
次へ
 その坂之上に、最近、おかしな動きがあった。  坂之上は最近、心臓を悪くして手術を受けていた。坂之上は、まだ老人というには早い年齢で、見た目も若々しい。だが、そろそろ後継ぎを決めておきたいと言い出したのだ。  坂之上には幾人もの妻がいたが、全て殺されていた。その妻との間には、六人もの子供が出来たが、同じく、全員が殺されてしまっていた。  坂之上には姉弟がいて、姉とその家族も暗殺されていた。  地下社会で権力を持つということは、報復で殺される危険性を持っている。坂之上の場合は、腹違いの弟妹や、対抗力などもあり、激しい抗争があった。  坂之上が組織をまとめ上げた時には、かなりの人が死んでしまい、強運と実力があった坂之上 愛親(まなちか)だけになっていた。 「孫あたりいるだろ。長男は三十歳近くまで生きていたし。娘も、それくらいまでは生きていた」  だが、坂之上の子孫というのは、見つける事ができない。
/472ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加