第二章 散るならば春に 二

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「一柳、夏目様は止めていいよ。夏目でいい。それと、一柳は姿に似合わず、喧嘩は強かったでしょう?死ぬ寸前までやられるとか、何があった?」  一柳の属していたストリートギャングは、一番ではないが、五本指には入るくらいの規模と実力を持っていた。それが、この店にいる数人を残して殺されるなど、何が起こったのだろうか。 「シマの取り合いで、バックに大物がついたチームに皆殺しにされたのですよ。人数と武器の違いが凄くて……しかも不意打ちでした」  突然、襲撃され、周囲一帯を爆破された挙句、逃げ惑う人間を撃ち殺していったらしい。 「相手はゲーム感覚で、狩りを競い合って楽しんでいました」  一柳は、この行為が許せず、坂之上に助けられると復讐を誓っていた。 「俺は生き抜いて、仲間の仇をうちたいと思っていましたよ……」  坂之上がバックについたので、攻撃の手が一旦は止んだ。 「でも、もう仲間を失いたくない。気持ちは板挟みです」 「それは、俺も分かるよ」  俺はパスタを食べると、おまけのグラタンも食べた。どれも美味しいので、屋台も出した方がいいのかもしれない。この店は高級そうに見える面もあり、敷居が高く感じる。
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