第三章 散るならば春に 三

2/21
226人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
「俺、夏目さんと一緒に仕事をしたいですよ……」  坂之上の愛人を、俺が取ったら大変な事になるだろう。俺がじっと一柳を見つめると、一柳は少し笑っていた。 「明日、坂之上さんの所に行くのでしょう?そこでの回答で、俺達も決めます」  何を決めるというのだろう。  デザートを食べ終えると、千手が立ち上がったので俺も帰ろうとすると、一柳は俺を肩に乗せて玄関まで歩いて行った。俺を肩に乗せていても、一柳はまるでモデルのように優雅に歩いていて、細く見える腕でも、俺を片手で軽々と持ち上げていた。  一柳はかなり鍛えていて、だから、襲撃を受けても生き残っているのだろう。  玄関で降ろして貰うと、俺は一柳の服をめくって、腹筋を確かめてしまった。 「エッチ!」  一柳の腹筋は見事に割れていて、贅肉は微塵もない。俺も昔は腹筋が割れていたのだが、今の体になってからは、なかなか腹筋がつかない。 「うん、分かった。襲撃に堪えているだけではないな……」  俺はどうする事も出来ないが、シマの取り合いと言いながら、遊びで襲撃をしている行為は許せない。
/472ページ

最初のコメントを投稿しよう!