第一章 散るならば春に

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「通常社会への影響ではないでしょう……。御堂警視監の子供に影響があるのでしょう?」  俺の幼馴染の千手は、地下社会の五大勢力の一つに数えられている。千手は情報戦に長けているので、普通よりも詳細な内容が、俺の所にもくる。  御堂の妻は、地下社会からスパイに来ていて、御堂を見張っていた。しかし、御堂の子供を身籠り、通常社会に残していった。その妻の情報が千手から、誘拐の情報が壬生から、山のように入ってきた。ここは通信不可の筈なのに、両者とも全く気にしていない所も凄いが、この量を読めと言ってくる所も凄い。 「…………」  辞書一冊分の情報を読むと、やや御堂について詳しくなった気もする。 「え?御堂警視監のお子さん、坂之上の血筋でしたか……」  今度はポイントななる部分の要約で、資料をまとめて貰おう。 「そうらしい。御堂警視監の子供が、ここ数日で、三回ほど誘拐されそうになった。警察も見張っているのだが、どうも地下社会の人間らしく、地下社会に逃げ切られて捕まえられない」  御堂は、地下社会の出身である俺には頼みたくないが、他にルートを持っていなかった。
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