第二章 散るならば春に 二

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第二章 散るならば春に 二

 千手を介して、坂之上にアポイントを取ると、明日にでも来いと言われてしまった。 「西海、明日、坂之上の所に行くけど、来るのか?」 「行きますよ。当たり前でしょう」  西海も、この国の地下社会ではないが、地下社会の出身なので、無法地帯には慣れている。しかし、西海の後で研究所から戻ってきた、市子とサトルも手を挙げていた。 「私も、行きたいです!!絵里香さんにも会いたいです!」  市子は通常社会の人間だが、俺と同じで人造に近い。市子は脳以外の部分を、俺の妹の絵里香から貰っているので、会いたいというのも頷けてしまう。サトルは、液体になっている絵里香と会話ができるので、今も周期的に通っているらしい。 「相馬部長の許可を取ってこい!」 「はい!」  二人が出て行った隙に、俺は駐車場に飛び出した。
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