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第三章 散るならば春に 三
最後のデザートを食べ始めると、一柳は俺を膝に乗せていた。
「夏目さん以上の人は、見た事がありませんよ……。かっこいいし、頭がキレるし、仲間も凄いし……それに、今は腕の中にいるし」
腕の中にいると言うと、別の事を想像しそうだ。
一柳は、本当に何をしても絵になる男で、ガラスに映った姿でさえも、絵のようにまとまっていた。俺の姿は、ドレスを着ていて、大きめのフランス人形のように見える。どうせ人形に見えるのならば、熊と一緒にいる五月人形のほうが良かった。
一柳の事を調べると、言っている事に嘘はなかった。
一柳を襲ったチームは、インフェルノと名乗っていて、バックについているのは、新興勢力の戸塚であった。戸塚は、地下社会の五大勢力に食い込む勢いで、拡大していた。
一柳の他にも、ストリートギャングが潰されていて、バックに大物がいるチームのみ、かろうじて残っている状況になっていた。
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