第三章 散るならば春に 三

1/21
227人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ

第三章 散るならば春に 三

 最後のデザートを食べ始めると、一柳は俺を膝に乗せていた。 「夏目さん以上の人は、見た事がありませんよ……。かっこいいし、頭がキレるし、仲間も凄いし……それに、今は腕の中にいるし」  腕の中にいると言うと、別の事を想像しそうだ。  一柳は、本当に何をしても絵になる男で、ガラスに映った姿でさえも、絵のようにまとまっていた。俺の姿は、ドレスを着ていて、大きめのフランス人形のように見える。どうせ人形に見えるのならば、熊と一緒にいる五月人形のほうが良かった。  一柳の事を調べると、言っている事に嘘はなかった。  一柳を襲ったチームは、インフェルノと名乗っていて、バックについているのは、新興勢力の戸塚であった。戸塚は、地下社会の五大勢力に食い込む勢いで、拡大していた。  一柳の他にも、ストリートギャングが潰されていて、バックに大物がいるチームのみ、かろうじて残っている状況になっていた。
/472ページ

最初のコメントを投稿しよう!