第四章 散るならば春に 四

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第四章 散るならば春に 四

 俺が朝食に出された梅干しを食べ終えてしまい、種を転がしていると、坂之上は追加で高級梅干しを用意してくれた。  輝くように美しい、高級梅干しを箸でつまんで感動していると、坂之上の手がそっと伸びてきて、俺を後ろから抱えていた。 「五歳にしては、小さいですね」 「小さくない!」  坂之上は俺を膝の上に乗せると、一緒に梅干しを見ていた。 「大きくて、いい色でしょう。特製梅干しです」  坂之上は梅干しが好きで、梅園を所有し、様々な梅干しを作っているらしい。その中でも、特に美味しいものを選んで、持ってきてくれた。  俺は、口の中に梅干しを入れようとしたが、大きかったので入らなかった。そこで、小皿に乗せて、少し齧ってみた。 「すっぱいけど、甘いような……不思議な味だな。美味しいけど、あの涎が出るような酸っぱい、しょっぱいがいい」 「我儘ですね」  だが、坂之上が指を鳴らすと、次の梅干しが出てきた。
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