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「浅羽くんは、やっぱりすごいです」
素直な気持ちを口にしただけなのに、こんなふうに不審な顔を向けられるのは一体何回目だろう。
「なんだこれ、デジャブか。お前、人の話本気で聞いてねーだろ」
「そんなに大事な夢なら、きっと叶いますね」
「……」
浅羽くんは、まだ何かを言いたそうに口を開いたけど、諦める代わりとでも言うようにため息をついた。
「分かってたけど、変な女」
分かられていたとは。
「お前にも、なんか夢とかあんの」
「夢ですか?」
私の夢……。
昔は、お前の旦那になる男は将来の社長だと言われていた。
そう言われ続けて、育った。
夢を持つなんて、発想すらなかったけれど……。
私の夢は。
「恋がしたいです」
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