月曜日*お別れを前提にお付き合いしてください。

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* それから、シャワーを借りた上に、服まで借りてしまった。 全体的に大きなその服は、私が着るにはぶかぶかで袖と裾が余ってしまい、引きずるように歩く。 「どうして、ここまでしてくれるんですか?」 浅羽くんは私をチラッと見て、すぐに目をそらした。 「別に。親父に、困ってる人とか怪我してる人は助けろって昔から言われてるだけ」 それって、すごい。 いくらそう言われていても、中々実行には移せるものじゃないと思う。 「素敵なお父様ですね」 「うるさい。明日は絶対に追い出すからな」 「はい」 顔は背けても、赤くなった耳が私には見えていた。 明るめの茶色い髪に、着崩した制服。 特定の彼女はいなくて、ひとり暮らし。 乱暴な言葉使いに反して、優しい気持ちを持っている。 不思議な人。 好きになったわけじゃない。 ……でも。 好きになるなら、あなたがいい。
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