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スタスタと大幅で歩く後ろ姿に、一定の距離を保ちながら、小走りでついていく。
何だかんだ言いながら、やっぱり優しい人……。
浅羽睦月くん……。
頭の中で、名前を呼ぶ。
揺れる後ろ姿に重なって、パッと何かが脳内で過ぎった。
……あれ?
今、何かを思い出しかけたような……。
「浅羽くん」
「話しかけんな」
「ごめんなさい。……私、あなたとどこかで会ったことがありませんか?」
一瞬、彼の肩がピクッと反応したように見えたけど、
「ない」
即答されたから、きっとそれは勘違いだったのだと思う。
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