39人が本棚に入れています
本棚に追加
恭助が酔っぱらったお陰で、この後散々な目にあった。
知絵にあーんしてほしいと騒いだり、膝枕をしてもらおうとするものだから、俺が壁になり、全てを断固拒否した。
その度に、春斗君のヤキモチ焼きだの、束縛魔だの、次から次へと恥ずかしい事を言われ、顔が赤くなりっぱなしだった。
知絵は、ケラケラ笑いながら、いつの間にか開けていたお菓子を、食べ続けている。
「酔っ払いってこんなに面倒くさいんだな……俺は絶対酒なんか飲まない」
「そう?私は、こういう恭君も可愛くて好きだけれど」
全くもってこっちの気持ちに気が付かない知絵には、苛々させられる。
「じゃあ、こいつに膝枕とかするわけ?」
「別に出来るよ。恭君―おいでー」
本気でやりそうだったので、急いで口を塞ぐ。
「ちょっと!春斗が言ったんじゃない。あ、恭君寝ちゃった……」
ぐーぐーいびきをかきながら、ソファーで寝てしまった。知絵がタオルケットを掛けてあげる。
「恭君も疲れているわよね。お疲れ様」
「こいつはただの飲み過ぎだ」
床には、空のビールの缶五本と、ワインの瓶が一本転がっていた。
「たまにはいいじゃない」
「こんなに酔っぱらっていたら、風呂には入れないな」
「そうだった!お風呂!」
「準備してあるから、先に入ってこいよ」
「さすが。ありがとう春斗。そうだ!一緒に入る?」
「は!?」
「冗談よ」
ケラケラ笑いながら、ぎゅーっとハグをして、お風呂場に向かっていった。
変な冗談を言われたのと、抱きつかれたのとで、バクバクしている心臓を落ち着かせようと、無駄に大きく深呼吸。
最初のコメントを投稿しよう!