さあ、こんな時こそ旅に出よう

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恭助が酔っぱらったお陰で、この後散々な目にあった。 知絵にあーんしてほしいと騒いだり、膝枕をしてもらおうとするものだから、俺が壁になり、全てを断固拒否した。 その度に、春斗君のヤキモチ焼きだの、束縛魔だの、次から次へと恥ずかしい事を言われ、顔が赤くなりっぱなしだった。 知絵は、ケラケラ笑いながら、いつの間にか開けていたお菓子を、食べ続けている。 「酔っ払いってこんなに面倒くさいんだな……俺は絶対酒なんか飲まない」 「そう?私は、こういう恭君も可愛くて好きだけれど」 全くもってこっちの気持ちに気が付かない知絵には、苛々させられる。 「じゃあ、こいつに膝枕とかするわけ?」 「別に出来るよ。恭君―おいでー」 本気でやりそうだったので、急いで口を塞ぐ。 「ちょっと!春斗が言ったんじゃない。あ、恭君寝ちゃった……」 ぐーぐーいびきをかきながら、ソファーで寝てしまった。知絵がタオルケットを掛けてあげる。 「恭君も疲れているわよね。お疲れ様」 「こいつはただの飲み過ぎだ」 床には、空のビールの缶五本と、ワインの瓶が一本転がっていた。 「たまにはいいじゃない」 「こんなに酔っぱらっていたら、風呂には入れないな」 「そうだった!お風呂!」 「準備してあるから、先に入ってこいよ」 「さすが。ありがとう春斗。そうだ!一緒に入る?」 「は!?」 「冗談よ」 ケラケラ笑いながら、ぎゅーっとハグをして、お風呂場に向かっていった。 変な冗談を言われたのと、抱きつかれたのとで、バクバクしている心臓を落ち着かせようと、無駄に大きく深呼吸。
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