さあ、こんな時こそ旅に出よう

9/10
前へ
/215ページ
次へ
「とっても良い湯だったわよ。春斗も早く入ってきなさいな」 「髪くらい乾かしてから寝ろよ」 巻いてあるタオルを取って、ごしごし髪を拭いてやる。 「いい気持ちー。春斗のもやってあげるわね」 「頭皮マッサージ付きでお願いしたいね」 「調子に乗るな!」 ぺしっと頭を叩かれて、脱衣所へと追いやられた。 風呂は、予想通りすごく良かった。 滑らかなお湯が、肌に纏わりつく感じが心地良い。 「こんな風呂に毎日入ったたら、知絵はもっと綺麗になってしまうのか」 つい、知絵の入浴シーンを想像してしまい、顔が青くなる。 「はっ!なんてことだ……最近俺の気持ち悪さに、拍車がかかっている……」 自分の気持ちを知られてしまってから、歯止めが利かなくなっている節がある。 溜息を吐きつつも、髪の毛を拭いてもらうことを楽しみに、意気揚々と風呂場から出るのであった。
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加