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あれから、何度か風呂に入り、適当に布団を敷いて、知絵と寝転がっていると、いつの間にか外が明るくなっていた。どうやら、気付かないうちに寝ていたようだ。
朝食は、昨日酔いつぶれてグダグダだった恭助が用意してくれていた。
「知絵ちゃんと二人で、楽しかったかい?」
なんて、眩しい笑顔で聞いてきた所を見ると、酔っていたのは演技なのではないかという気がしてきた。この男は本当に掴めない。
次はいつ来るかわからないこの別荘を、しっかり綺麗にしていきたいと言う知絵のせいで、二日目は結局大掃除のようになった。
知絵が納得する頃には、もうとっくに昼を過ぎていて、急いで帰る事となった。
「恭君運転お疲れ様」
昼を食べ損ねたので、コンビニでどでかいカツサンドを買って車の中で食べた。恭助には、運転のお礼にコーヒーを買ってやった。
「あっという間の二日間だったね。まあ僕は殆ど寝ていたみたいだけれど」
「次は、お酒なしで行かないとね」
知絵と恭助は荷物を片付けながら、のほほんとトークをしている。
最近問題だらけの橘家が、旅行中に大きなトラブルに見舞われることもなく、すんなりと帰宅できたことに安堵しつつ、部屋に籠る。
「のんびりする為に行った筈なのに、物凄く疲れたな……」
以前より、知絵の事を意識してしまう自分に戸惑いつつも、全てを恭助の責任にして、目を閉じた。
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