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「今日から三人で暮らすことになった。仲良くするんだよ」
喜んでいたのも束の間、急に恭君が予想だにしていなかった一言を言うものだから、驚きと極度の人見知りのせいで、初めて会う兄に酷く冷たく接してしまった。
春斗の方から声をかけようとしてくれたのにもかかわらず、「ぎゃー!」と大きな声で叫び、目の前から全速力で逃げたのだった。
恭君はよく、その時の様子を笑いながら話してくれる。
まあ、そこからすったもんだがあって、兄と認めることになるのだが、出会った次の日から春斗は、毎朝私を起こしに来るようになった。
「ねえ、春斗。私には目覚まし時計があるんだから、毎朝起こしに来てくれなくて平気よ」
「……ああ」
このやり取りは何度も、それこそしつこいくらいに何度もしてきた。しかし決まって次の日には部屋に来て、布団に潜り込むのである。
「まあ、こんなにうるさい目覚ましで起きない私も悪いのかしら」
時計の調子も悪いしことだし、もっと大きな音の、すんごい目覚まし時計でも探そうかな。
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