或る真夏のとんでもない出来事

2/8
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 見ると、純白のノースリーブワンピースを身に着け、オニキスのように瞳が黒々艶々とした、うら若き女が青白い顔をして今にも倒れそうに立っていた。  一雄はその萎れそうな美しさと弱り方に驚きながら、「さあ、どうぞ、上がってください」と言って女が少し前に来たところで女の肩を抱き、はあ、こんな綺麗な女性に触れられるなんて何て素敵な事だろうと思いながらクーラーの効いた居間に女を優しく導いた。 「あの、汚いですけど布団を敷きますから」と一雄は言いながら押し入れから敷布団を出して畳の上に敷いた。 「さあ、ここへ寝転がりなさい」と一雄は今まで使ったことがない言葉で言ってちょっと可笑しな気がしながら女を寝かしてやった。  一雄は実際に女が自分の敷布団の上に寝たのを見て彼女が美しいだけに異様な興奮を覚えないわけにはいかなかった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!