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夏真っ盛りの日曜日、時計の針が午後2時を指すと、遂に気温が40度に達した。丁度その時、玄関ドアをノックする音がした。
それは弱々しい音だった。次に玄関ドア越しに掠れるような、か細い女の声がした。
「開けてください」
一雄は若い女に違いないと察知し、これは只事じゃないぞと半ば色めき立って読んでいた雑誌をおっぽり出して玄関に急いで行った。何せ、彼は彼女がいないしアパートに一人暮らしをするようになってから若い女が訪ねて来ることなぞ無かったから一体、何事だろうと不思議に思いながらも何かしら期待したのだ。
しかし、流石に即座に開けることを躊躇して誰何した。
「どなたですか?」
「熱中症で倒れそうなんです。助けてください」
「そ、それはいけない。分かりました」
一雄は心配げにそう言うと、玄関ドアを開けた。
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