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「あぁ……」
幸恵はぼんやりとする頭を左右に振りながら、体を起こした。
え…?
ここは?
幸恵は周りを見渡した。
白、
白、
白に囲まれている。
床は柔らかい。
ウレタンみたいなもの。
四方の壁も同じような材質に見えた。
「誰か……」
「誰かいますか……?」
「誰かいますか──!!」
幸恵の声は発した先からウレタン仕様の白壁に吸収されて行く。
響かない。
自分の耳にも自分の声がくぐもって聞こえた。四方真っ白でドアの隙間さえ分からない。それが有るのかさえ。
幸恵は白い部屋に閉じ込められていた。
考え出すと、
少しずつ、
少しずつ、
意識が覚醒し始め、
幸恵の頭は目まぐるしく動き出した。
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