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大学の2つ手前の駅まで電車で行き、東口から出た。 西口方面はオフィス街が広がり、1年中疲れた大人が徘徊する。東口は高校やオシャレな店、ゲームセンターがあるため20前後の若者で溢れている。 その中を縫って歩くと、もはや常連となったファミレスが見えてくる。1番奥の窓際の席に影のようにひっそりと座る男の姿があった。彼は僕に視線を向けると、少しだけ眉をひそめた。僕はテーブルを挟んで向かい側に座り、ココアを注文した。 「響は?」 「風邪だってさ」 僕はスティックシュガーを5本手に取り、1本ずつ丁寧にテーブルに並べた。
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