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ある晴れた日の空の上、虹の女神イリスが編み物をしていました。太陽に照らされて現れた虹の光で染めた毛糸と、満月の夜に現れた虹で染めた毛糸を組み合わせてマフラーを編んでいます。ふかふかした雲にこしかけて、鼻歌を歌う女神の手がくるくる動き、あっという間にマフラーが編みあがりました。
「さて、できた」
にっこり笑った女神のそばをひゅーっと風が駆け抜けて行きます。女神は髪の毛が乱れないよう、慌てて頭を抑えました。すると女神の手の中から、編みあがったばかりのマフラーが風にのって飛んでいきます。女神はマフラーを追いかけようかと思いましたが、雲の中に入りあっという間に見えなくなってしまいました。女神は取り戻すのは諦めて、ふかふか雲の上に座り直します。
「まあ、いいわ。もう一枚編みましょう」
女神はふんふん歌いながら、虹色に光る毛糸玉を手に取って編み棒に引っかけていきました。
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