あったかいのはマフラーのおかげ?

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「今日、風が冷たいな」 「天気予報で気温が下がったって言ってたしね」 青空が広がるものの冷たい風吹く公園で、学ランとセーラー服を着た男女がベンチに座っています。この寒いのにマフラーも巻かず、手袋もしていません。コートは着ていましたが、時折寒そうに首をすくめています。 「おまえ、寒いんだろ」 「寒くない。そっちこそ寒いんじゃない?」 二人がこんな寒空の公園で何をしているのか、気にするような人もいませんでした。通りがかった猫がちらっと見て、めんどくさそうにため息をついてたったと通り過ぎていきます。 「俺だって寒くねー…っくしゅん!」 精一杯強がって見せたのに、思い切りくしゃみが出てしまいます。女の子はケラケラと笑いました。 「なんだ。寒いんじゃん。私は、寒くな…へ、へ、へっくしゅん!」 女の子の大きなくしゃみに今度は男の子が笑います。 「すげーくしゃみ!髪の毛長いんだから、髪の毛をマフラー代わりにすりゃいんじゃね」 ゲラゲラ笑う男の子を悔しそうに睨みつけます。女の子が言い返そうと口を開いた時、ふわりと何かが二人の肩に落ちてきました。 「何?これ?」 「マフラーかな。すげー偶然」 女の子は男の子の方に身を寄せました。男の子は口を開きかけましたが、結局何も言いませんでした。一枚のマフラーを二人で仲良く巻きます。よくよく見るとマフラーは虹色をしています。冷たい風が運んできたマフラーは、お日様の日差しを浴びて光ります。さっきまで言い合いしていた二人はすっかり大人しくなりました。二人で寄り添っていると、だんだんあたたかくなってきました。 「なんかあったかいね」 「マフラーのおかげだな」 「一体誰のだろう?すっごくあったかいし、色もキレイ。きっと探してるよ」 「じゃあ、交番に届けるか」 そうだねと女の子が言ったので、男の子はマフラーをとって丁寧にたたむと左手に持ち、右手を女の子に差し出しました。 「何?」 「手、寒いだろ?」 「うん」 女の子が男の子の手をとると、二人は一緒にベンチから立ち上がります。さっきまでの言い合いしていたのに、すっかり仲良く手をつないでいます。枯れ葉がかさこそ音を立てて公園の砂地を走って行きました。
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