現実はシビアで

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 わたしが通う高校は共学、男女の割合は多少女子の方が多いようだが、普通に男子もいる中で、わたしは女子を好きになった。女子高ではそういうことも珍しくないと聞くが、わたしは、ひとり、この気持ちを心に留めていようと思った。  それで良いと思ったし、それが最善だと分かっていた。誰かに気軽に報告できることでもない。  しかし、それではちょっと寂しいと思う自分がいた。これまで人を好きになることが少なかったから、いわゆる"恋話"というものはほとんど聴く側として参加していた。久しぶりに好きな人ができたので、話ができる人が欲しいという気持ちもあった。  聴く側専門で参加していた時は、面倒くさいと思うこともあったが、自分に好きな人ができれば誰かに話したいと思うなど、自分もしっかり女子なのだと思った。  そう。わたしはしっかり女子だった。  女子として女子を好きになった。    
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