現実はシビアで

6/10
前へ
/20ページ
次へ
 優姫はどんな人とも仲良くなる。  それは、偏見がないことだけが理由ではない。  何事にも偏見がないというのは事実だが、優姫の場合は、"何事も否定せず、とりあえず受け入れる"、という事なのだ。自分がその物事に対してどう思うかは別として。  そのため、どんな物事に対しても、存在として肯定的ではあるが、いつも善心的な訳ではない。  「自分の好き嫌いで、物事の扱いに差をつけるのは違うと思う」というのが優姫の持論で、この人間性の根拠だ。  優姫はこの持論から、人との接し方にも差をつけない。どんな人でも、"そういう人"と受け入れているので、どんな人とも仲が良いのだ。  そんな優姫を本当に尊敬するし、一番信頼できる友達だと思っている。  でも、そんな優姫だから、ただ受け入れるだけで、心からの応援は、してくれないかもしれないと思ってもいた。  しかし優姫は「素敵」と言った、言ってくれた。「本心」だと言った、言ってくれた。  こぼれそうになった涙は、不安からの解放でなく、嬉し涙だった。  
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加