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「愛、か」
胸の中ですやすや眠る郁実の髪をゆったりと撫でながら、颯真は思った。
『郁実くん、俺が欲しいのは恩返しじゃないよ。君の、愛が欲しい』
以前、こんなセリフを彼に贈ったっけ。
「嬉しいな。郁実、嬉しいよ」
彼の方から、愛してる、と言ってもらったのは初めてだ。
セックスの最中に、愛してる、と言われたのも初めての経験だけど。
愛してるから、セックスをする。
そんな当たり前のことを、ずっと見失っていた。
「郁実、愛してるよ」
無性に照れて、それでもしっかり声に出して、颯真はつぶやいた。
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