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「お待たせしました。ブレンドです」
「僕は紅茶を頼んだはずだけど?」
え? と、スタッフの顔が困惑する。
「しかし、伝票にはちゃんと」
「僕は今、紅茶が飲みたい気分なんだよ!」
客の荒げた声に、周囲が静まり返る。
郁実は急いでカウンターから出て、現場へ向かった。
「お客様、いかがなさいましたか?」
「紅茶! 紅茶を頼んだんだよ、僕は!」
スタッフの眼を見ると、それは違うと訴えている。
しかし、仕方がない。
お客様が黒と言えば、白も黒なのだ。
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