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「申し訳ございません。すぐに代わりをお持ちします」
「早くしてね!」
郁実はスタッフの背中を押すと、ブレンドを下げた。
小声で、愚痴が始まる。
「絶対あの客、おかしいですよ。絶対、ブレンド、って言いました」
「うん、佐藤さんの言うことが正しいと、僕も思います」
だけど、お客様だから。
お客様を喜ばせることが、僕たちの務めだから。
郁実は紅茶を淹れると、自ら席へ運んだ。
「先ほどは、失礼いたしました」
「うん、気を付けてよね。店長は? 来ないの?」
「私が、店長です」
客の目が、丸く見開かれた。
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