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「その若さで、店長さんか。いいご身分だね! 俺なんか、10年勤めてもヒラだよ!」
「どうぞ、出世なさっても御贔屓にお願いいたします」
巧いこと言うね、と客は笑い、その場はなんとか収まった。
「すみません、店長」
「災難でしたね、佐藤さん」
午後も頑張りましょう、とここでまた、笑顔。
郁実の笑顔には、人を癒す力がある。
ただ、本来内向的な性格の彼には、だんだんそれが苦痛になって来ていた。
無理して笑ってるわけじゃない。
郁実は、自然と笑顔を作ることのできる人間だ。
ただ、先ほどのような無茶な客にまで笑顔を向ければ、誰だって疲れるというもの。
郁実に、疲労が溜まってきていた。
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