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喫茶店を締め、マンションへの帰り道に郁実はいた。
途中まで方向が同じのスタッフ・佐藤と一緒だった。
「何かいいことでもあったんじゃないですか? 教えてくださいよ~」
「そんなこと、ないですよ~」
二人で笑い合いながら、道を歩く。
だんだんと車道が広くなり、交通量も増してきた。
「じゃあ、僕はここで。店長、雨ですからチャリ気を付けてください」
「ありがとう。佐藤さんも気を付けて」
そうして、二人は交差点で別れた。
佐藤はバス停に向かい、郁実は自転車を押した。
「蒸し暑いなぁ」
そう佐藤がぼやき、バスに乗り込もうと列に並んだところで、背後から急ブレーキの音がけたたましく聞こえてきた。
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