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どうしていつもこの店は鍵をかけていないんだろう。 おかげで開店前の密談をよく聞く羽目になる。 時間に遅れると遅刻になるから行くしかない。特に一番後輩の自分は誰よりも早く着いて準備する。 今日も誰か来てるんだろうなと思いながらドアに手をかけた。案の定話し声が聞こえる。 だけど今日はいつもと様子が違った。 「鍵閉めるの忘れたの誰?」 シンと目が合った。 「入っていいよ。開店準備あるでしょ?」 手招きされて仕方なく店に足を踏み入れる。 異様な風景だった。 カウンターの中に店長、ボックス席にマダム、シンと桐崎と数人の男。 その中に囲まれて床に転がっている礼二がいた。 鉄の紐がついた首輪をつけられて全裸だった。腕は後ろ手に縛られている。怯える様子はなくどこを見ているのかわからない。 男の一人がマダムに札束を渡す。 確認して微笑むと立ち上がって、突っ立っている俺の横をすり抜けて店を出ていった。 直視できなくて俺はカウンターの中に入る。それでもチラチラと様子が見えた。 「かわいい顔だね」 男の一人がつま先で礼二の顔を転がしながら言う。前髪を後ろに流してメガネをかけている。こいつが主犯か。 「いくらで買う?」 シンの問いかけに男は指で3を示した。 「その単位は?」 「百でどうだ?」 「一人あたま百万、どう?」 シンは桐崎と店長に確認する。二人とも無言でうなづいた。 「それでどうするの?」 「どうするかな・・・」 メガネの男はさっきマダムが座っていた椅子に座る。まわりの男たちがそわそわしているのを見て 「味見したかったらやれば?それで高く値段つけた奴に売るよ」 人身売買、そう思ったが遅かった。まわりの男たちが客で、品定めをこの店でする。 店長が渋った意味がここでようやくわかった。 「客たち」が礼二の体に群がった。 一人が何の躊躇もなく穴に指を突っ込むが少し動くだけで反応がうすい。 「使い道がわからなかったから調教してない。それと少し漬けすぎた」 無言で立っている桐崎の横でカウンターにもたれたシンが腕を組んで答えた。 この状況で開店準備しろといわれても人が多すぎて邪魔で掃除ができない。 それにどうせ今から汚れるだろうし。 ほんの少しだけ好奇心もあった。 世の中本当に変態っているんだな。 ただ揺さぶられていた礼二の口からだんだん嬌声が聞こえてきた。 「何だ気持ちいいのか」 首輪を引っ張って笑っている男、胸の膨らみを指でいじっている男、髪をつかんで顔をじっと見ている男。 こいつらに回されて感じている礼二はすぐに白い液を自分の体に撒き散らした。 シンがカウンターの中に手を伸ばす。 「床を汚すなよ」 店長に手渡されたタオルを投げた。 「それとここでヤルんだったらゴムつけろ。後で掃除するの大変だから」
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