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プロポーズは断られた。
当然だ。
ほとんど衝動的で不躾なほどの申し出に困惑しただろうに、
怒ることもなくそのあとも穏やかに接してくれるさまを見て改めて素晴らしい女性と思う。
心が清らかで才能にあふれその上美しい。
そんな彼女に老いさらばえた自分ではふさわしくないとわかっている。
しかし簡単に諦めることなどできない。
婚約者がいる、
とは彼女の言葉だが本当ならどんな人物だろう?
一度確かめてみたいものだ。
*****
「お疲れ。
杉谷はちゃんとやってますか?」
俺は連載コーナーを持っている週刊誌の担当編集に電話していた。
海外に来ている間の数回分を後輩ライターに代わりに書かせてくれるよう頼み込んだので心配だったのだ。
「わかってますよ、
月末には必ず戻りますから」
この機会に抱えている連載のひとつを若手に回してもらおうとあわよくば考えていたのだがそうそう甘くはない。
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