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一体どうしてしまったんだろう。
さらに次の日も彼は現れず、
それに伴いルーカスさんから新たに発表があった。
「どういう事情にせよショーに穴を開けるわけに行かない。
フレデリックの代わりにルシアンを王子役に引き上げる」
彼は万一の代役として控えていたので当たり前なのだが私は少なからずショックだった。
仕事とはいえ苦手な相手とのペアで踊りに集中できるかあまり自信がない。
しかも時間がないため今日は一日中二人でパ・ド・ドゥを仕上げるように指示され警戒しながら練習を始めたが、
予想と違いルシアンはびっくりするほど真面目に取り組んでいた。
マリアンナ先生の目があるからだとしても黙々として無駄口を叩かず、
ひたすら踊りに没頭して見えた。
「それじゃまた明日」
一日のメニューが終わった後も挨拶だけをして帰って行った彼に私は拍子抜けしてしまう。
「麗奈ちゃんお疲れ!」
宿舎に戻る時に渡会先生が声をかけてきた。
「夕食まだだよね」
そのまま先生の行きつけの店に誘われる。
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