34.交接※

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 知らず伸ばした指が、滑る。  紅潮する頬に、美しい鼻先に、愛らしい唇に、白く艶めかしい首に……。指先からじんじんと伝わる艶熱。  瞬時目を合わせた我が番は、すぐに恥じらうように目を伏せる。その手が薄物を捲り上げていく。  露わになる滑らかな腹。筋肉の陰影を目で追うと、雪灰のけぶる股間に、雄のものがそそり立っている。先端を濡らせた震えるそれに、自ら触れて顎を上げ、甘い息を漏らす。  ゴクリと、喉が鳴った。  眼はもう一方の白い手がその奥に伸び、指が蠢くのを追ってしまう。 「あ……」  悩ましい吐息。僅かに開いたくちもとから白い歯と赤桃色の舌が覗き、蒼瞳が悩ましげに細まる。  滾る情欲に、喉奥から低い唸りが漏れる。 「……なにを」  している。  なんと、悩ましい、ことを。 「は、ぁ……、できる……もう」  蠢く指から、ぴちゃり、と滴る音。僅かに寄せた眉の下、瞼が落ちる。  俺の雄は猛りきり、動く度に葉の鳴るカサリカサリという音が、やけに耳に響く。 「……っ、ぁ……」  少し顎を上げ、一度閉じた瞼が僅かに開く。潤んだ蒼が、俺を捉え────  濃密な気配に包まれる。  オメガと自分は特別な絆で繋がっている。強烈な一体感。二匹で一つなのだという実感と共に腰紐を緩める指が、激しい歓喜に震える。自らを叱咤しながら下衣を下ろす。 「ここに、入れて、早く」  さらなる歓喜が身の内に沸き立ち、息を整えようと努力しても、はあはあと荒ぶったまま落ち着かない。 「あんたの……子種……」  ぶわっと吹き出すかのような、発情の匂いが、身を包みこむ。  ひどく濃密な、匂い、気配────  鼻は蒼の雪灰の発情以外嗅ぎ取れない。耳も煽情的な息遣いと声以外拾おうとしない。目に映るのは美しい蒼の雪灰のみ。  森の奥、枯れ葉を寝床として横たわり、共に夢中になって互いを味わおうと。  不安はない。  強者の匂いを纏う俺たちに近寄る獣など、いるわけが無いのだ。  蒼の雪灰の首元を噛み、甘露を味わって身の内に漲るものを感知した。それから変わっている。俺と、蒼の雪灰、互いの気配がより強者のそれへと変わっている。  交尾をするのは初めてだが、なにをどうすべきか分かる。どうすれば子種を活かすことができるか、本能が命じている。その通りにすれば事は成される。  しかし甘い匂いに誘われ、本能が命じないこともしてしまう。  人狼らしく筋肉の発達した両足を持ち上げ、その太ももに鼻をすり寄せた。肌は今まで感知したことのない特別な匂いを漂わせている。
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