個室での水音

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 瞬間、おれの両肩はもの凄い力で掴まれていた。 背中が、トイレの扉の内側に叩き付けられる。  肩と背中との痛みを忘れて、八広を見た。 ちょうど座りションのように自身を便器の中へと向けていた。 先端からは液体が、ポタポタと滴っている。 おれが飲むはずだった、飲もうとしていた精液が――。  八広の手がペーパーホルダーへと伸び、勢いよく巻き取った。 自分自身の始末をするのだろうと思って見ていたら、折り重ねた紙を手渡された。 「口、拭いてください」 「あ、ありがと・・・・・・」 「トイレットペーパーですけど」 「・・・・・・」  紙がこれなのは場所柄上、致し方ない。 応える八広の顔が、チョットだけはにかんだように見えた。 まだ下半身をむき出しにしたままの、間が抜けた姿だったからかも知れない。   八広が自分自身の後始末を終えた紙を、便器の中へと放り込む。 おれも慌てて口を拭い、捨てた。 あっという間にそれらは、文字通り、『水に流された』  
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