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圭と中村さん
圭は中村さんとタコ公園で会えた
自販機で買ったアツアツの缶コーヒーを飲みながら話をした
『圭』
今日は手編みのマフラーをありがとう
あんなに編むの大変だったんじゃない
ありがと、嬉しかったよ
でも・・・
『中村さん』
でもって口ごもる圭を見て
もしかして、彼女とかいた?
『圭』
いやいや、いないよ
いないんだけどマフラーは巻けないんだ
『中村さん』
え?どうして?
『圭』
ぼく、昔から首に何か巻くって言うのが苦手なんだ
理由は多分僕が、生まれたとき、へその緒が首に二重に巻きついていたらしいから、それだと思うんだけどね
危なかったんだって
絞められていたせいで顔の色が小豆色だったんだって母さんが言ってた
だから、マフラーとかネックウォーマーとかハイネックのセーターとか苦手なんだよね
だから、マフラー、首には巻けないけどカバンの持ち手に縛っていつも持ち歩くって言うのでもいいかな、それを許可してもらおうと思ったんだ
『中村さん』
許可って役所じゃないんだから私
でも、あー、そうだったの
勝手に持ってないのかなと思っちゃって
私ね、いつも楽しそうに登校してるの見てて癒されてたから
『圭』
え?毎朝会ってたっけ?
知らなかった〜
『中村さん』
反対側の歩道からこっそり見ていたから知らないはず
『圭』
恥ず〜
そうだったのか
でもありがとう、マフラー
大事にするよ
ぼくの印象だと中村さんて、他の女子と違ってキャーキャー何人かでつるんでないし、自分の道を行くみたいなさ、そんな人だなと思ってたからぼくなんて眼中にないと思ってたよ
だから男前みたいなある意味、カッコいいって感じで思ってた
えっと、僕の携帯番号を教えておこうか?
いや、LINE交換しようよ
何となくぎこちない二人はLINE交換してからタコ公園を後にした
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