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その夜、雨と風の音が酷かった。風はまるで悲鳴のようで、雨は誰かの涙のよう。
「ごめんなさい……」
誰にともなく、私は謝っていた。謝っても謝っても気が済むことはなくて、何度も何度も謝った。そうしていると、なぜだか眠れなくなって……気が付いた時には朝刊が届く時間になっていた。
それからしばらく経ってもやっぱり眠れなくて、私が眠りについたのは、すでに朝の五時半を過ぎてからだった。
長い一日が、静かに終わった。
第三話・終
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