第四話「割られた茶碗」

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「瑞樹、もう起きやー。」   朝起きたら全部夢だった……なんて、そんな都合の良い事は起きなくて。布団に横たわって眠って……しかしそれは永遠の眠りなおじいちゃんを見て、紛れもない現実なんだと、寝起き早々に虚無感に襲われて苦しくなった。   午後には、大阪から母方の親戚――お母さんの姉二人と私の従姉――が家に来た。 おじいちゃんは、その従姉になついていた。たまに従姉がうちに来ると、いつもすごく嬉しそうに笑っていたのを、私でも覚えている。だから、きっと……従姉が来てくれて、おじいちゃんも喜んでると、何の確証もないけど、何となくそう感じる事が出来た。   「ほんまに急やったなぁ。」   うん、急だった。 しばらく他愛のない話やおじいちゃんの話を繰り返していたが、時間は嫌でもやって来る。四時に葬儀屋さんが来るからと言って、私たちはそれぞれ喪服に着替えた。私はお母さんが昔着ていた服を借りて、それに着替えた。袖に手を通すと、あぁもうお別れなんだと……変に実感してしまう。それは、私だけじゃないと思うのだけど、どうだったのだろう。   葬儀屋さんは、私が着替えて少しすると、もい家に来た。次男はまだ着替えの途中で、慌ててネクタイを締めていた。  
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