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湖面に浮かぶ月のように、その姿は、定められた形を取ることはない。
形が変わっていくことに確たる理由はない。
もちろん、厳密に言っていけば、風が吹くからであり、物が落ちるからであり、虫が羽を休めるからであり、獣が水を飲むからであり、水中で様々な生き物が生活をしているからである。
原因となる出来事があり、その結果として湖面の月は定められた形を取らないという結果が生まれる。
それが、因果だ。
しかし。
しかししかし。
それをどうしても認めることができない。
湖面に浮かぶ月に手を伸ばし、湖面に触れたが故にその月は醜く姿を変えてしまった。
その事実を。
明確な事実を、認められないからこそ、他の理由を探してしまう。
湖面に映った月は、定められた形を取ることはないものだ、と。
自分が湖面に触れたからではなく、最初からそういうものなのだ、と。
そう言い訳をする。
そうしないと、そうでないと。
自分さえいなければ月が綺麗でいられたのだと、突き付けられるような気がした。
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