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「だからさ、ヤラせろ」
「は!?いや、俺........男だよ」
「俺の恋愛対象は男だって言ったろ」
「言い方間違えた。俺たち兄弟ね」
「いいだろ、男女みたいに子供できるわけでもねーし。問題ないだろ」
兄貴はもう俺の言葉なんて聞く耳をもっていなかった。
「俺はな、お前のせいでストレスたまって、それをコイツにきいてもらってたんだ」
「う、うん」
「なのに、いなくなったらもうお前使うしかねーだろ」
そんな出来事から始まった俺と兄貴の奇妙な関係。
兄貴は卒業してすぐに海外に渡ったから、そんな頻繁ではなかったけど、一時帰国している間は毎日兄貴と一緒にいる。これが兄貴との約束だった。
両親の期待がほとんど俺に向けられていて、蔑ろにされてきた兄貴が俺のことを恨んでいたのは分かっていた。
俺は兄貴のことが大好きだったけど、兄貴にとって俺はコンプレックスだった。
だから俺のことを抱くことで兄貴の気が済むならと俺は兄貴に応えるしかなかった。
でも、そんなことをしつつ、やっぱりするなら女の子との恋愛だろって言うのはなくならなかった。
........が、25歳になったいま。
俺が抱いているのは正真正銘の男だった。
「........っ、はぁ、隼」
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