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「は?好きなのは莉央だけだよ」 「じゃあ、この前キスしてたのは遊びなのかよ」 「キス........あぁ」 一瞬考えた後、思い出したように目を見開く。 「あれは........俺のはけ口」 「はけ口........?」 やっぱり昨日言っていた「はけ口」というのは、隼のことだったらしい。 でも、俺の大切な居場所の隼のことをそんな風に表現されるのはやっぱり嫌だ。 でも、隼のことは身体のことしか知らないし、他のことを何も知らない俺が口を出すわけにもいかなくて、何も言えない自分が悔しかった。 「あの日は莉央に振られた腹いせ」 「いつもそんなことしてんのかよ」 「そうだな。日本に帰ってきてる間は必ず莉央の代わりにしてたかな」 「やめろよ、そんなふうにはけ口にすんの。対等に扱ってやれよ」 なんでもいいから、隼のことをそんなふうには言って欲しくなかった。 縁が日本に帰ってくることになっていたから、俺にはしばらく会えないと言っていたんだな。 きっと、隼にとって縁は大切なんだろう。 それなら俺のところに戻ってきてくれなくても構わないから、ただ隼が幸せに笑ってくれればそれでよかった。 いままで縁のことが好きで、でも縁はどこで何をしているかも分からない相手だった。 その時も同じようにどこかで幸せに笑っていて欲しいと思っていた。
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