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「莉央が俺の気持ちに応えてくれればいいんだよ」
「は?」
「莉央が俺のものになるなら、俺はアイツを使わなくて済むんだよ」
「........っ、なんだよ。それ」
「だって、そうだろ?俺がアイツをつかうのは莉央のせいだよ」
「俺の........せい?」
俺のせいで隼が傷ついていると思ったら胸がぎゅっと痛くなる。
「初めは莉央が俺の元から去った日だよ」
「卒業式........?」
「あの日から俺とアイツの関係は生まれた。アイツを莉央の代わりに抱いていれば満たされたんだ」
縁はいままでに見た事のないような苦しい表情で話す。
そんな見た事のない表情で話すくらい俺は縁のことを傷つけて、間接的に隼のことを傷つけている。
「でも、だからといって俺は縁とはもう会いたいとか思わない」
だからって、情に流されるわけにはいかない。
流されずに隼のことも救わないとならない。
「なんでだよ........女なんかどうでもいいだろ。だってお前........気持ち良さそうだったのに」
俺の前に膝をついて、顔を俯かせる。
「俺はお前に嘘をついた」
「嘘?」
「俺は女のことは全然好きじゃないし、元々はお前のことが好きだった」
こんな風になっている縁のことを放っておくことは出来ず、思わず手を伸ばす。
「俺を........好き?」
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