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──好きなやつに振られた
兄貴が高校の卒業式終えて帰ってきたと思ったら、目を赤くしていた。
好きなやつがいたなんて聞いたこともなかったし、泣くほど好きだとかアホらしーともおもっていた。
俺は一度もそんなふうに思える相手に出会えったこももないし、べつに出会わなくてもいいとすら思うくらいそういうことに興味はなくて。
「兄貴の好きな人って、どんだけ可愛かったの」
「んー、めちゃくちゃ可愛い」
振られたくせにすごい優しそうな目になるんだ。
バカみたいだって思ってた。
「写真みせてよ」
「いいよ」
兄貴がスマホを操作して見せてきた写真に俺は「え!?」と言葉を発したと思う。
たしかに可愛い顔はしてると思うけど、写真の中にいたのはどこからどう見ても男だったから。
「兄貴って........」
「ビックリした?俺、男が好きみたいなんだ」
「へぇ........世の中には色々いるし、いいとは思うけどビックリするわ」
興味はたしかにあった。
兄貴みたいに男の人が好きだということに。
最初に知った時はおかしいと思った。
だって、父さん母さんは異性だから、そこをみて育ってきてるから男女がそうなるのが当然だと思っていた。
だから兄貴の恋愛対象が男だと知って、兄貴はもしかしたら頭がおかしいのかもしれないと思った。
俺は兄貴みたいにはならないで、普通の恋愛をしようって思ってた。
でも、俺は覚えてしまったんだ、男の身体というものを。
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