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「沖縄ってほんと海が綺麗だなー」
隼が会えなくなって2回目の週末、俺は社員旅行で沖縄に来ていた。
目の前には海に向かって両手をひろげている桜庭の姿。
桜庭の言葉どおり、沖縄の海は透き通るくらいのエメラルドグリーンだった。
「.......同じ色だ」
海をみて一番に浮かんでくるのは隼の目の色。
隼はカラコンをしており、その色がエメラルドグリーンだった。
目の前に見える海はどうしても隼を連想させて、俺を切ない気持ちにさせてしまう。
縁とのキスシーンを見た日から1週間。
「来れない」と言った隼は本当に来ないし、元々家に来る時の連絡しかなかったメッセージアプリにも連絡なんて入るわけがなかった。
もしかしたら縁が新しい相手で、俺のところにはもう戻ってくることはないのかもしれない。
それでもいままでのように待ってしまう俺はバカだろうか。
自分だけが特別だと思っていたっていい。
俺には隼という居場所が大事だったのだから。
「あー、いたいた!桜庭さんばかり独占しないでくださいよ!」
俺を探していたという女性社員が小走りにやってくる。
「おいおいこんなところまで莉央のことを探しにきたのか?」
「当たり前じゃないですか!だって須崎さんが社員旅行くるなんてあたしが入社してからは初めてです!」
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